喪章は、日本の歴史やお葬式様式の移り変わりとともに用いられるようになった装飾品です。
葬式における喪章の意味や歴史、使用方法などについて解説していきます。
喪章とは?
喪章についての概要
喪章とは、故人の死を悼むために用意・着用する黒い布で、「リボン型」と「腕章型」の二種類が一般的です。どちらの形状であっても、必ず左側に装着して使用します。
喪章を着用することで、故人に対する敬意を示すとともに、遺族と弔問客を明確に区別する役割も担っています。
喪章の歴史
喪章の歴史は、喪服の変遷と密接に関わっています。明治維新以降、遺族側も弔問客側も黒い喪服を着用するのが一般的になったことから、喪章が立場を区別する目印として広く用いられるようになったという背景があります。
現在では、故人の4親等までの親族が喪章を装着することが一般的です。
喪章は、故人を弔う気持ちを形に表し、葬儀の場における秩序を保つ存在として、日本の葬儀に取り入れられています。
葬式での喪章の使用
葬式における喪章の役割
喪章は、葬儀や葬式の際に遺族が身につける黒い布、もしくは黒いリボンで、故人の死を悼み弔う気持ちを表現するために用いられます。
また、遺族と弔問客を区別することにも役立っています。
喪章の着用方法
喪章の着用方法は形状によって異なります。リボン型の場合は左胸ポケットの上に安全ピンで留め、腕章型の場合は左腕に黒い布を巻き付けます。
形状に関わらず、喪章は必ず左側に装着するのが原則です。これは仏教の考え方で、御本尊から見て右側が上位であるとされていることに由来しています。
喪章をつけるべき人
喪章は、一般的には故人の親近者、すなわち「故人の4親等まで」が着用します。
しかし、葬儀の形式や家族の状況によっては、親族全員、または喪主の家族のみが喪章をつけることもあります。また、受付などの手伝いをする人も喪章をつけることがあります。
なお、家族葬のような身内だけで行われる葬儀では、喪章は使用されないことがあります。喪章をつけるべきかどうか迷った場合は、喪主や葬儀会社のスタッフに確認しましょう。
喪章はいつまでつける?
通夜から告別式までの期間は、喪章を着用するのが一般的です。火葬前後からは遺族や親族のみが残ることになるため、遺族の目印としての喪章は不要となります。
レンタルで借りた喪章は、火葬後に外し、葬儀社に返却します。四十九日法要や年忌法要など、葬式以降の儀式では喪章を着ける必要はありません。
喪章着用の注意点
「仕事先から急いで葬儀場まで駆けつけた場合、喪章をつけることで普段のスーツが喪服の代用になる」という人もいますが、これは誤りです。喪章は喪主や親族を区別するためのものであり、スーツが喪服になるわけではありません。
また、喪章は原則として、喪主や親近者のみが着用するものです。弔問客側がつけるものではないため、誤解がないようにしましょう。
喪章の準備とお手入れ方法
喪章を準備する
喪章を着用する場合は少なくとも葬儀の前日までには準備しておく必要があります。
仏具店や斎場近くのスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどで喪章が取り扱っていることがあります。
また、喪章は葬儀社でも用意してくれる場合があります。葬儀社での手配を希望する場合は、事前にその旨を伝えておくと良いでしょう。
自分で購入するか葬儀社に依頼するか迷ったときは、喪主や葬儀社に相談してください。
葬儀社によっては、自分で購入したものを用いても問題ないところもあれば、葬儀社側で統一したものを使用することを推奨しているところもあります。
お手入れ方法
理想は手洗いですが、洗濯機でも洗うことができます。洗濯機を使う場合は喪章を洗濯ネットに入れてから洗うのがおすすめです。
手洗いモード・ドライコース・おしゃれ着コースなどの弱めの洗い方で、水温は冷水を使用してください。また、脱水は軽めにしてください。
洗濯が終わったら喪章を陰干しか浴室乾燥で乾かします。
漂白剤や乾燥機能は生地を傷めたり色落ちしたりするので使用しないようにしましょう。アイロンも同様です。
まとめ
喪章は、故人の死を悼むことを示すだけではなく、遺族と弔問客を明確に区別する配慮を示すこともできます。
また、近年ではスポーツの追悼試合などで、選手が着用するなど、使用の幅も広がっています。
お葬式で必ず揃えなければならない品ではありませんが、喪主や葬儀社の方々は喪章の使用を検討してみるのも良いかと思います。